主な賃貸物件での解約の際、「ルームクリーニング費用」を請求されることが多いですよね。退去時ではなく、入居時に「退去時ハウスクリーニング費用」として請求されている管理会社もあるようです。

ですが、退去される際にルームクリーニング費用だけだと思っていたのに、立会いしたら、「○○は入居者負担での修繕になります」や「これは故意過失になるので、費用を請求します」と多額の費用を支払わなければならない状況になったことがある方も少なくないのではないでしょうか。

どのような場合に、故意過失と認められるのか。費用を負担しないでいいのはどの部分なのか。を詳しく記載します。


退去時請求費用とは・・・

上記にも記載していますが、大多数の物件では退去する際に、「ルームクリーニング費用」を請求されることになります。この費用はお部屋の広さにより変動するのが一般的で、単身向け物件で約15,000~20,000円程度になり、平米数が大きくなるにつれて金額も高くなります。

その他請求される費用として、入居者の「故意過失」により生じた事象により復旧工事が必要な際に請求されます。「故意過失」と一言で言っても分かりにくいですよね。

そもそも「故意過失」とはどういうことなのか。
故意とは,損害の発生を認識していながらこれを容認して行為する状態をいいます。(AがBに向けてボールを投げた等)
過失とは,損害が発生する事が想定できたにもかかわらず,その想定できた損害を回避すべき義務を怠ったことをいいます。(AがBに当たるかもしれない状況下でボールを投げBに当たった等)

というようなことになります。入居者の故意過失は例えで言うと、「壁に棚を取付て直径1センチ以上の穴を開けた」これは故意になります。「寝煙草により、フローリングを焼いてしまった」これは過失になります。

上記内容はほとんどの人が納得するのではないでしょうか。直径1センチの穴は画鋲や釘などで開くことはないです。大きな釘を使用する際に開いてしまう事はありますが、1センチ以上の穴が開く釘を使用しなければ設置する事の出来ないようなものは設置してはいけない。ということです。寝煙草でなくとも、フローリングを焼いてしまった場合には、張り替えなければならないので、費用負担することになります。

その他でよくある事は、トイレの壁やドアにシールを貼っていませんか?シールを上手に剥がすことが出来れば特に問題は無いでしょうが、上手く剥がれずに残ってしまった場合には費用負担しなければなりません。

これらのような場合には、修繕工事代金を請求されることになるでしょう。どの様な場合に費用負担をしなければならないのか。を理解しておくと退去の際に高額な工事代金を請求されることは少なくなるでしょう。


工事代金・工事内容は・・・

故意過失により工事費用を負担しなければなり、工事代金が思ったより高かった。ということはないでしょうか?壁に数か所大きな穴を開けてしまった。と想定した場合の費用請求はどのようなものになると思いますか。穴の開いている箇所だけの修繕だけだと思いますよね?しかし、実際は異なります。

下地まで穴が開いてしまっているような場合には、壁紙(クロス)・下地(ボード)の交換が必要になります。ボードの交換工事の際は、穴の開いている箇所だけの交換というのが出来ないのです。

なぜかというと、ボードは大きさが決まっており、1枚もので壁の強度を保つ為に必要な大きさになっているからです。これを分割し、つなぎ合わせるということは出来ないのです。

↑の写真のように黒点部分に穴が開いていたとすると、点線枠で囲っている部分のボードを張り替えなければなりません。このため、工事費用は割高になるのです。穴の開いて場所によっては、ボードを2枚張替る場合もありますので、その際はさらに費用が高くなるでしょう。

壁紙についても同様で、1m程度の間隔で貼り付けられているので、繋ぎ目周辺での張替の際には、2m程度の張替を要します。


壁に穴を開けてしまった際の工事内容はこのようになります。しかし、長年住まれている場合には、壁紙などに関しては減価償却対象になりますので、10年以上住まれている際には、費用を請求されても払う必要が無い。とされています。

適切な対処方法を覚え、不要な請求には屈せず、費用が掛からないように快適な生活を送りましょう。